コーヒー豆の精製について

摘み取ったコーヒーの果実(コーヒーチェリー)は、その中から生豆(なままめ、きまめ、グリーンビーンズ)を取り出します。この工程を「精製」、英語ではProcessingと呼びます。

生豆となる種子のすぐ外側にあるのはシルバースキン、その外側がパーチメント、さらに外側を粘着性のあるミューシレージが覆います。特にミューシレージはヌルヌルとしており、収穫したての水分の多い状態では簡単に種子から離れません。ですからこの果皮からミューシレージまでの部分をいかに上手に取り外し、よい状態で生豆を取り出すかが重要になるのです。



■6つの精製方法
 ①ナチュラル
   
コーヒーチェリーを天日干しにして、自然な方法で果肉が乾燥して剥がれるのを待ちます。
   
綺麗な水が手に入りにくい一部の地域で行われている方法。

   【メリット】華やかで果実味のあるフレーバーが加わる。

    【デメリット】精製過程で不快なフレーバーが加わってしまう可能性が高いこと。
                      

  ウォッシュト

   果実をパルパーという機械にかけて、果肉を取り除いた後、種子についたミューシレージを取り除くために、大きな水槽に豆をつけ、
   もう一度洗浄して表面に残ったミューシレージを取り除き、パーチメントに覆われた生豆を取り出す。
    
【メリット】苦味や雑味のないクリアなフレーバーになる。

    【デメリット】大量の水を使うこと、それが環境汚染に繋がる可能性がある、また気温と水温の適性に管理をしないと、発酵が
           進みすぎて品質に影響が出てしまう。

 
パルドナチュラル
   
近年登場したウォッシュトとナチュラルの折衷案で、セミウォッシュトとも言われる。
   
高性能パルパーでミューシレージ部分の大部分をこそぎ落として、パーチメントに覆われた豆状態で乾燥する方法。
   高性能な機械が出てきたことで可能になった。

   【メリット】ウォッシュトとナチュラルの良さを兼ね備えている。豊富な水が確保できない場所でも処理できる。

   デメリット】ミューシレージを残したまま乾燥させるので、予期せぬ発酵が進むことがある。 

 
ハニープロセス
   
中南米や中央アメリカでよく使われる方法で、収穫したコーヒーチェリーの果肉を一部取り除きますが、完全に取り除くのではなく、豆に少し残して日光にさらして自然乾燥させます。
   中南米の農園では、セミウォッシュトの精製をハニープロセスと呼ぶことが多く、パルプドナチュラルよりもさらに多くの果肉を豆に残します。
   中米コスタリカでは、粘液質を除去する割合によってハニープロセスを区分しています。それらは「ホワイトハニー」「イエローハニー」「レッドハニー」「ブラックハニー」と呼ばれ、後者になるほど粘液質の量が多くなります。

   【メリット】残った果肉に十分な糖分が含まれたまま乾燥させるために、コーヒー豆自体にに甘みやコクが加わる。
   【デメリット】豆に果肉が残されるために、乾燥時に発酵豆や欠点豆が生じる可能性が高い。

 
スマトラ式

   コーヒーチェリーを収穫して果肉を取り除いた後、粘液質が付いたまま半乾きの状態にします。そしてパーチメントを取り除き、再度乾燥。

   【メリット】インドネシア産らしいコクや風味が加わる。

   【デメリット】柔らかい生豆のまま乾燥させるため、変形したりカビが生えたりと欠点豆ができやすい

 ⑥アナエロビック・ファーメンテーション(嫌気性発酵)

   ーヒーチェリーの発酵を酸素を排除した環境で行うことが特徴です。
   発酵槽に水とコーヒー豆を入れ、酸素を遮断した状態で一定時間コーヒーを置く。こうすることで酸素のないところで活動する嫌気性微生物が発酵を助け、ミューシレージが柔らかくなる。
   そのまま乾燥させた場合を「アナエロビック・ナチュラル」と呼ぎ、水で洗って乾燥したものを「アナエロビック・ウォッシュト」と呼ぶ。

   【メリット】これまでにないフレーバーが生まれる。

   デメリット】高い管理力が必要とされ、不良なコーヒーが混じっているとすべてのコーヒーの味が劣化する